ヱンヂニヤ・トヲルの生活と意見

TSLとオーストラリアの造船技術

読売新聞によると、小笠原航路の世界最高速客船、燃料高騰で就航断念 とのこと。以前にblogでネタにした、テクノスーパーライナー（TSL）ですね。ダメなことにもっと早く気づくべき。

オーストラリア製のウエーブピアサー型高速船、"Incat Evolution 10B"であれば、同じくらいの速度、同じくらいの乗客数で、お値段はTSLの半分くらいです。しかもディーゼルなので、ガスタービンを使っているTSLよりも、燃料代や保守費用が段違いに安い。
また、時代錯誤な”貨客船”である小笠原TSLと違って、大型トレーラーも積めるフェリーです。こちらを参照のこと。

はっきりいって、いいとこナッシングですよ＞TSL
それなのに、”画期的な未来の船”みたいに宣伝するのはどうか。

高速船って、最近はオーストラリアのお家芸になってるようで。領事館のWebによると、主な貿易品は”食品、建築資材、高速フェリー（以下略）”とあります。

ウエーブピアサー型とはこういう形なんですが、この波を切り裂くような独特の船形で、造波抵抗を減らそうとしています。

また、オーストラリアはアルミ船体の軽量化技術に優れています。軽量であれば、船体が水没する面積が少ないので、粘性抵抗が少なくなります。この船型と軽量化技術が、ディーゼルエンジンでありながら40ノット前後を実現する秘訣でしょう。スマートな解だと思います。

テクノスーパーライナーは、ファンで船体を持ち上げることによって、造波抵抗や粘性抵抗を減らそうとしています。しかしそのために、高価な燃料をバカ食いするガスタービンエンジンが必要になり、リフト機構のために船体も重くなってしまいました。いわゆる”素性の悪い技術”です。

TSLは、日本の造船技術を向上させるという目的もあったはずですが、TSLなんかにうつつを抜かしている間に、高速船の技術については、オーストラリアにずいぶん水を開けられてしまったようですね。

まぁ、オーストラリアは、ヨットのアメリカズカップで勝ったりとか、伝統的に高速船が得意ですけど。マオリ族が海洋民族なのも関係あるのかなぁ。

自動車と音楽

現代自動車に「ソナタ」って車種があるんですね。それのＣＭにヨン様を起用というニュースがありました。

それはいいとして、”ソナタ”のような、音楽用語をモチーフにした車名って結構あるなぁと思い当たりました。たとえばこんな感じ。

ホンダ・バラード（譚詩曲）
ホンダ・コンチェルト（協奏曲）
ホンダ・プレリュード（前奏曲）
ホンダ・ジャズ
マツダ・エチュード（練習曲）
フォード・テンポ（拍子）
シトロエン・シャンソン（フランス語で”歌”）

こうしてみると、ホンダは特に音楽ネタが多く、きっと狙ってやってるんでしょう。もしかして常識？

ではこれはどうだ。上には書かなかったのですが、日産は微妙なものが多いです。

日産・マーチ（行進？　行進曲？）
日産・フーガ（風雅？　バロック時代の対位法の楽曲？）
日産・ホーミー（家庭的？　モンゴル特有の発声法？）

あえて際どい線を狙っているとすれば、すごい凝り方ですが（たぶん違う）。

パラサイト政府税調委員

最近、サラリーマン増税の話題が熱いわけですが、政府税調の委員が、専業主婦を侮辱する発言をした、ということが話題になっているようです。「パラサイト・ワイフ」とは、これまたキャッチーな言葉ですな。

このニュースのソースと思われる議事録が、これです。これを見る限りでは、ある委員の「専業主婦の家庭の方が、トータルとして子供の数が多いはずだから、そういう家庭を大事にする税制は必要」という発言に対して、「そんなことは無くて、仕事も子育てもしないパラサイト・ワイフが多い」という、今回問題になった発言があったようです。

これについて、怒りの声はあちこちから上がっているわけですが、私としては、この議論のベースとなるべき、裏づけのデータがまったく提示されていないことに驚きます。

他の意見（同じ人かもしれないけど）で、「これから男女共同参画社会になってくるんだから、税制も個人単位で行くべき」というのがありますが、これについても、「男女共同参画社会になってくる」ことを説明するデータは出てません。この人は「女性は乳幼児を保育園に預けてでも働くのが正しい姿」だと思っているのでしょうけど、個人的な意見はともかくとして、さも規定の事実のように語っているのが不思議です。

税制を改革するってのは、大変な影響力があるわけですから、あらゆるデータを慎重に分析した上で、行われているのだと思っていました。でもここで行われているのは、データのない個人的な印象だけの議論です。こんなんで増税されたらタマラナイ。もはやサラリーマンも行動すべきであって、ネットを使って何かできないかなぁと思いますね。

火照ったカラダにヒートシンク

この３連休、特に予定が無いのでどうしょうかな、と思っていたら、リリカが急に熱を出したので、自動的に、家でおとなしくしていることになりました。

ついさっきまで元気が良かったのに、急にグッタリして、熱を計ると３９度とかあるんですよね、幼児ってやつは。

妻が、タオルを水で濡らして、リリカの頭に当てたりしているのですが、見ていて効率が悪い気がするので、「そんなことするより、CPU用のヒートシンクでも当てておいたほうがいいんじゃない？」と言ってみました。

「え？それはなんなの？」「いや、PC用の部品なんだけどね。」と答えると、少しの沈黙の後に、ポツリと、「なんだか、トヲルへの信頼が失われていく気がする…」

なんとおっしゃるウサギさん！　PC用の部品だからって侮ってはいかんよ。PC用の部品は、宇宙でも使えることが実証されてるんだしさ。（違

なにはともあれ、実験実証あるのみです。写真がその様子ですが、被験体によれば「冷たくて気持ちいい」とのこと。濡れタオルのように次第にぬるくなることもなく、安定して冷却効果を発揮することも確認されました。まずは成功です。

今回使用したのは、AthlonXPのリテール品です。ほかに、Pentium4のリテール品や、鎌風rev2、Cyprumが手持ちでありますし、ファンを回してのテストもやってみたかったのですが、妻の視線も冷たくなる一方だったので、これ以上の実験は断念しました。

課題としては、ヒートシンクの固定方法と、寝返りを打ったりしたときの安全性の確保ですね。

なお、リリカは普通の風邪だったようで、熱もだんだん下がってきたので、ご心配なく。

Y染色体とニセ科学

asahi.comの書評に「本当に女帝を認めてもいいのか」という本の紹介があり、その内容には目が点になってしまいました。近年最高のトンデモ本かも。

女系天皇はダメだと主張している本なのですが、その主要な論拠は以下の通りです。
「天皇家は創設以来、男系で相続している。男系で続くかぎり、Y染色体は始祖から変化しない。したがって今の天皇家の男性も、神武天皇のY染色体をそのまま受け継いでいる。ここで、女性天皇になり、その子供がさらに天皇になると、神武天皇以来のY染色体が途絶えてしまうことになる。それはイカン。」

ヘェーと思いましたか？　でも簡単に計算してみましょう。
まず神武天皇がいつの時代の人かということですが、よくわからないので、少なめに見積もって1500年くらい前とします。
1世代が25年とすると、1500年間では60世代になります。
1世代で男の子が平均1.5人生まれるとすると、60世代後に神武天皇のY遺伝子を持つ男の子の数は、1.5の60乗、つまり約368億人になります。

あぁ、ちょっと多すぎますね。たぶん”平均1.5人"の見積もりは過大なのだと思われます。昔の人は子沢山だったとは言え、大人になる前に死亡する率も高かったでしょうし。そこで例えば、平均1.3人として計算すれば、約686万人になります。

要するに、神武天皇のY染色体なんて、持ってる人はたぶん何百万人といるんじゃないの、ということなのですよ。むしろY染色体を尊重することは、天皇家を尊重する人にとって、天に唾を吐くようなものなんでは。

Y染色体については、以下のサイトが興味深いです。参考まで。

HOTWIRED ”ゲノム研究で判明した男性染色体の奇妙な特徴”

rocus（遺伝子鑑定会社）　”Y染色体ハプロタイプおよび系譜情報”

個人的意見を言えば、天皇家がどうなろうと、女系天皇が容認されようと、別に興味は無いですね。どっちでもいいし。
ただ、天皇制はファンタジーの上に成り立っているはずなのに、そこに科学的解釈を持ち込んで補強しようとする行為は、むしろ逆効果であって愚かだなぁと思っただけです。

なんだかんだ言っても気になるレクサス

父親のblogにトラックバーック！（なんとなく掛け声をかけてみる）

カローラの名前は偉大なんで、しばらく使い続けられるでしょうね。
日産は、やけに潔く、伝統の車名をバシバシ切り捨てていますが、あれもどうかと思います。

>>話が逸れましたが、自動車ディーラとは結構欲張りで、よそのチャネルに
>>良く売れるクルマがあると、「うちのチャネルでも売らせてくれ、同じク
>>ルマでなくても、同じコンセプトのクルマが欲しい。」ということは日常
>>茶飯事です。

そういうものでしょうねー。販売店の努力も重要だけど、売れる商材があるのが一番だし。

そういう点で、新生レクサス店はどうでしょうね。USでは売れ筋の、ハリアーとウィンダムが無いわけですが、既存ディーラーが手放してくれなかったでしょうか。

最初はGSとSCだけで、1ヵ月後にISが追加とか。GSはアリストの後継ですが、僕は初代のアリストはとても好きでした。ウエッジシェイプの戦闘的なスタイルと上品さを兼ね備えてた、さすが巨匠ジウジアーロ作という出来で。
でもGSについては、「ジウジアーロにあやまれ！」って感じですね。

ISはカッコいいと思います。これでIS250が400万以下なら、BMW 325iよりはかなり安いので売れそうな気もしますが、レガシィB4は6発3Lでも300万以下だからなぁと考えると微妙。お客さんが、どちらを競合車と考えるか、ですね。

レクサスのサイトで”ブックレットプレゼント”をやっているので、応募してきました。

そうそう、本題のクルマのネーミングについてですが、先日Wikipediaを見ていてムダ知識を仕入れました。トヨタで一番古いネーミングは、クラウンではなくてランドクルーザーなんですってね。トヨタだけでなく、現存する日本車の中で最も古い車名とか。詳細はこちら〜。

コンビニの闇

blogをフラフラ渡り歩いていたら、”コンビニ問題”について扱っているblogを見つけて、興味深かったので、いくつかの関連サイトを見てみました。いつもお世話になっているコンビニに、こんなダークな一面があった、とはという驚きがあります。

要は、コンビニの本部とフランチャイズ店との契約が、フランチャイズ店に対して非常に不利になっているという話です。ネタはいろいろあるのですが、私が「なんじゃそりゃ！」と思ったことが、特に２点あり。

１点目は、本部に支払う”ライセンス料”のベースとなる”粗利”についての、謎の計算式です。普通は粗利というのは、

粗利　＝　売上高　−　売り上げ原価

であり、この粗利に対してロイヤリティーを課すというのは、まぁわかります。
しかしセブン・イレブンなどのシステムでは、”売り上げ総利益”という言葉があり、

売り上げ総利益　＝　売上高　−　売り上げ原価　＋　廃棄ロスなど

となっています。”廃棄ロス”とは、期限切れの食品などで廃棄した分の金額です。そして、ロイヤリティーはこの”売り上げ総利益”に対して課されます。

でも、廃棄したものって、お店にとっては純粋に損なんですよね。損したのに、さらにロイヤリティーがかかるのです。しかもロイヤリティーは、セブンイレブンのＣ契約（店舗も土地も本部持ち）の場合で、４３〜７６％という高額なものです。廃棄して損したのに、さらにその金額の７割ものロイヤリティーを払うんですよ！ちょっとあり得ない話なんだが…

この「騙し取られている」とも言える金額は馬鹿にならず、小規模な店でも月数十万円にはなり、カツカツでやっている店には死活問題だという説もあります。

廃棄ロスというのは、コンビニの魅力を高めるためには避けられないものですから、そのリスクは店舗だけでなく、本部も分かち合うのがフェアというものです。でも現実は、リスクを分かち合うどころか、一方的に店に背負わせて、さらに追い銭をせびるようなシステムだと言えます。

２点目は、”オープンアカウント”と言われる仕入れシステムです。卸業者とのやりとり（納品とか支払いとか）は、店舗ごとに行うのが普通のはずですが、多くのコンビニでは、これを本部が代行します。驚いたことに、店側に知らされるのは、納品したモノの一覧と、その総額だけで、個々の金額の明細はありません。どの品物がどれだけの原価なのか、一切わからないのです。

これについて、明細を公開しろという集団訴訟が行われて、訴えられたセブンイレブンは１審で負けてますが、上告しています。
でもホラ、明細って、あるのが当然じゃないですか？世間一般として。　それを出せないのは、本部が卸からピンはねしているのがバレるから、と思われても仕方がありません。そしてそれは違法行為です。本部は問屋ではないし、ちゃんとロイヤリティーを取ってるんですから。

こういうことを書いたのは、義憤に駆られてというわけではなく、なんでこんなのがまかり通っているんだろう、ということが不思議で仕方が無いからですね。ちょっと考えたら、ヘンなのはわかるでしょうに、なぜコンビニのオーナーの方は我慢しているのでしょうか。（もちろん裁判で戦ってる人もいますが）

情報不足というのはあるでしょう。新聞や商業誌は、セブンイレブンにたてつくと、店に置いてくれないかもしれない、とか思って及び腰になるかもしれませんし。

だからこそネットですね。誰でも”コンビニ問題”とか検索すれば、上に書いたような内容を知って、自分で考えることができます。
多くの人がネットを使えるようになることが、世の中の”ヘンなこと”を減らすことに役立つといいのですが。

国民車で行こう

諸般の事情で、今日からうちの1erはディーラーに入院していまして、帰宅すると車庫に代車が入っていました。なぜかカローラ。
BMの店なんだから、Z4くらい寄越せばいいのにな。

でも一応、マイチェン後の最新型です。どんな乗り味か気になるので、そそくさと乗ってみました。
アクセルを踏むと最初だけ”グァン”と前に出るけど伸びない感じとか、抵抗もフィードバックも無くスルスル回るハンドルとか、懐かしい感覚です。

室内の静粛性や乗り心地は素晴らしいですね。ボディ剛性も高いようで、路面の段差を乗り越えてもミシリとも言わない。前に乗っていたアルデオよりも、あきらかに完成度が高いです。やっぱ進歩してるんですね。実際、高級感すら感じます。40キロくらいで走ってるかぎりでは、クラウンと変わらないような。

エンジンは、回転は伸びないしガサツですが（タコメータが無いので回転数がわからない・・・）、実用域のトルク感は、むしろうちの1erよりもあります。エンジンパワーは大差ない（カタログ値では5馬力少ないだけ）のに、車体は300Kg近く軽いですからね。

と、ひとしきり感心したところでメインイベント。私が好きな、近所の坂道に行ってみました。きつい登り坂で、かつ広くて見通しが良いので、アクセル全開で行くことができます（スピードはそんなに出ないですヨ）。頂上付近が多少ツイスティになっています。

オリャーとアクセルを踏みつけたところ、最初の100mくらいは勢いが良かったのですが、すぐにシフトアップ。エエッッ！もう頭打ち！？

カローラ君は、シフトアップ後は回転がストンと落ちて、淡々と坂を上るだけでした。うちの1erであれば、6500回転くらいでシフトアップして、次のギアも4000回転くらいでつながるので、坂の頂上までグイグイ登ってくれます。パワーウエイトレシオ（のカタログ値）では、カローラの方が上のはずなんだけど…

坂の上のコーナーでは、雨で濡れていることもあり、いつもより控えめに入ったのですが、ハンドルを切っても思ったより曲がらず、切り増したら「ガガガガ」とフロントが滑り出し、あわててタックイン。
ヒィ〜！こんなに限界低いんだっけ？　ほとんど横Ｇを感じる間も無かったよ。

いやいや、もちろんカローラは、そんなふうに振り回す車では無いのです。ジェントルに街乗りしている限り、カローラは「これ以上なにが必要ですか？」と言えるほどの優れた車であり、これを150万円とかで提供できるトヨタは偉大であります。

でもネ、実用品としては、150万は高いです。趣味のものであれば、300万でも安いと思えたりしますが。
実用性さえあればよいなら、パッソでも軽自動車でもいいわけで、そういう意味で、カローラは優秀だけど、今や中途半端なのでしょう。昔はカローラでも夢を持てたのでしょうけど。

そういえば、わりと近所にレクサス店が出来るんですよね。レクサスISは、BWの3erを超えるという意気込みで、値段もBM並です。トヨタ流のプレミアムが受け入れられるかどうか、興味がありますね。まずは試乗したいな。

アラウンド・ザ・ワールド

ジュール・ベルヌといえば、H.G.ウェルズと並んで、元祖SF作家と言われますが、この「アドリア海の復讐」はSF色は薄く、普通の冒険小説です。

シンプルな復讐譚（酷い目に合う→復讐する）であり、伏線はミエミエで、今やこんなコッ恥ずかしいストーリーは書けないよなと思いますが、そこがむしろ新鮮ですね。
「キル・ビル」を見た時にも思ったけど、やっぱ復讐譚って面白い。ビバ復讐。

物語はアドリア海を発端に、後半は地中海を縦横に移動しながら進んでいくのですが、新しい土地に行くたびに、そこの土地柄や歴史の描画が入り、ちょっとした観光案内のような雰囲気があります。

こういうときに役に立つのが、google earthですよ。例えば、最初の舞台はトリエステですが、ここについては詳細な、家一軒一軒まではっきり見える衛星写真を、google earthで見ることができます。それを眺めながら、「サルカニーが伝書鳩を捕まえた丘は、このあたりかなぁ」とか想像するわけです。

他にも、ネットで土地の写真を探したり、歴史について調べたりすると、物語がさらに楽しめますね。さすがのジュール・ベルヌも、百数十年後にこんなことが出来るようになってるとは、思わなかったんじゃないかな。