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イーガンの新作ということで、おもいっきり期待して読みましたが、裏切られませんでした。”超ハードSF”の触れ込みどおり、正直わからんところもありますが、わかる範囲だけでも圧倒的です。
たくさんあるネタのうち、軽いやつを一つだけバラしますと。
”コズチ理論”という(架空の)理論に基けば、ワームホールを使って超光速で恒星間旅行できるはずだということで、それを実証するために、太陽系くらいのスケールの加速器を作る話があります。その設計と建造には300年かかったんですが、すでに意識をソフトウェア化して、ハードウエア上で走らせている人類にとっては、何でもありません。
で、ついに完成して、みんなでカウントダウンとかしちゃうのですが、ワームホールの一方から入ったガンマ線が、もう一方から出てこない。なぜだ!? ワームホールの形成に失敗したのか?
実は、ワームホールはちゃんと出来ていて、ガンマ線はちゃんと、ワームホールを通り抜けていました。ただ、通り抜けるのに、現実の距離と同じだけの時間がかかっていた。つまり、ワームホールは近道ではなかったと。
これはコズチ理論が誤っていたということなのか、それとも? というあたりから、また別の話につながって行きます。
それにしても、これは現代的なSFでありながら、テーマとしてはむしろ古典的です。発明発見テーマであり、ファーストコンタクト・テーマですから。なので、独自理論の説明部分を適当に流して読めば、むしろ読みやすい作品かもしれません。
これは間違いなく、現代の最高峰のSF作品ですから、ぜひ多くの人に読んで欲しいですね。イーガンを読めば、モノの見方が変わりますって。
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