夜と霧 新版 | |
ヴィクトール・E・フランクル 池田 香代子 おすすめ平均 苦しみの中から生まれた希望 生きる意味 体験者の「内側から見た」強制収容所 人間の奥底に眠っているものが、垣間見えたような気がする ふたつの種類の人間 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
米バージニア工科大の銃乱射事件で、
「学生を避難させようとして死亡した教授の1人が、ホロコーストを生き延びたユダヤ人だった」
というニュースを見て、昔読んだ「夜と霧」を思い出しました。アウシュビッツ強制収用所にいた、精神分析学者の手記です。
極限状態と言いますが、その究極だと思うんですよ。衛生状態劣悪なところに押しこめられ、粗末な食事で重労働に駆りだされ、いつかはガス室に送られて殺されるわけです。そんな状況に置かれたら、何もかも諦めて無気力になるか、生存本能をむき出しにしてあたりかまわなくなるか、どちらかだと思えるのですが、
この本には、そうした環境下でも、人間らしい思いやりとか尊厳とか、そういうものを無くさなかった人々のことが書いてあります。自分がそうなれる自信はないけれど、そういう人が確かにいて、そういうふうになりえるということは、勇気付けられる話です。
そして亡くなった教授も、そういう人だったのだろうと思います。息子さんは知らせを受けて、
「冷戦中、父は命がけで論文を発表していた。だから、父が犯人に立ち向かったと聞いても驚かなかった」
と話したそうです。ご冥福をお祈りします。
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