夏休みといえば工作ですよね。僕は工作は得意でしたが、作っている最中よりも、何を作ろうかと考えたり、設計している時が楽しかった覚えがあります。今は「工作キット」みたいなものがいろいろありますが、ああいうものを図面どおりに作るだけでは、工作の楽しさの半分も味わっていないと思うのですよね。
リリカの夏休み工作を手伝うにあたって、"工作を自分で設計開発する"ことをリリカに教えたいと思いました。自分がやってきたことをプロセスとして整理すると、こうなります。
- 企画
- 原理試作
- 意匠設計
- 詳細設計
- 製作
- テスト/調整
- ドキュメンテーション
こうして見ると、普段仕事でやっていることと何ら変わりありません。このプロセスに沿って進めることにしました。
■企画
まずは、何を作るかを決めます。今回は電池を使った工作に初挑戦ということで、シンプルな扇風機にしました。小学2年生の課題にはちょうどいいでしょう。
筐体は工作用の木材で作り、動力はマブチの小型モーター、電源はタミヤの電池ボックスを使う、という設計方針も決めておきます。ここは大人主導でやる必要があるでしょう。
■原理試作
具体的な設計に入る前に、作ろうとするものが原理的に動くことを確認するための試作を行います。今回は電池ボックスとモーターとプロペラを接続して、扇風機として働くことを子供に確認させました。
ついでに、『回路』とは何かということや、ショートの危険性などについても教えておきます。回路が決まったら回路図を書きます。
■意匠設計
扇風機が成り立つには、どのような筐体が必要かを考えます。材料は木なので、あまり凝った形は作れませんから、最低限何が必要かという観点でやります。
大まかな形がイメージできたところで、意匠(デザイン)について検討します。紙にラフな絵を書きながら、アイデアを出し合うとよいでしょう。
うちの場合は、子供から「犬が尻尾をブンブン振る様子をプロペラに見立てたい」というナイスアイデアが出ました。でも元の案は犬が四つんばいになっていたので、プロペラは上を向いてしまいます。それでは使いにくいですから、「プロペラを前に向かせるにはどうしたらいいだろう?」と考えて、犬が逆立ちしているイラストを子供が描きました。これなら行けそうです。
意匠の方針が決まったところで、筐体の設計に取り入れます。せっかく決めた意匠でも、実際に設計に落とし込むとうまくいかないこともままあり、その場合は意匠の検討に立ち戻ることが必要になるでしょう。使い勝手についても、ここで検討しておく必要があります。
■詳細設計
具体的に、各部の寸法を決め、個々の部品の図面を作ります。今回の場合は、側板×2、底板、モーター台、電池ボックスの目隠し板(補強を兼ねる)
のパーツが必要でした。
■製作
図面を元に製作を行います。今回は、木を切るのは私がやって、木の仕上げ(ヤスリがけ)、彩色、ニス塗り、組み立て、などを主に子供にやらせました。
■テスト/調整
組みあがったらテストを行います。もちろん動いたのですが、一つ問題を発見しました。扇風機の軸が水平になるように取り付けたつもりだったのが、少し下がり気味になっています。ここはむしろ上がり気味で良かったのですが気が回りませんでした。こういう失敗はよくあるわけで、どうやってリカバリするか、子供といっしょに考えてみます。
検討の結果、モーター台とモーターの間にスペーサー(ナット)をかませて、モーターの取り付けに角度を付けることによって解決しました。
■ドキュメンテーション
『夏休みの工作』の成果物は、作ったものだけでなく、『どのように作ったか』という記録も必要であるはずです。なので、設計に使ったラフ画や図面などを使って資料を作るように言ってあります。まだこれからなんですけどね。ドキュメンテーションは往々にして後手になりますね…
と、こんな感じです。『夏休み工作プロセス』について分かってくれたかは不明ですが、リリカはとても楽しかったと言ってくれたので、それだけでも良かったかなと思っています。
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