神様のパズル | |
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”神様のパズル”を読みました。数年前にハードカバーで出ているのですが、”大幅に加筆訂正”して文庫化されたものだそうです。
カバーイラストはライトノベルみたいですが、これはハードSFですよ。あるいはハードSF青春小説?
大学のゼミで、「宇宙が無から生まれたのであれば、人間も無から宇宙を作れるのか」というテーマでディベートすることになり、気難しい天才少女とチームを組むことになった落ちこぼれの主人公は… というお話。
ディベートで勝つために頭をしぼるうちに、とんでもない新理論にたどりつくというストーリーなので、それを理解するには相対論、量子力学、宇宙論など現代物理学の知識が必要なのですが、そこは大学が舞台なので、ゼミの描写の中で基礎をおさらいしてくれます。親切設計だと言えます。
この人の文章や構成は、決してうまいとは思えないのですね。途中で「この小説、この先大丈夫なのか?」とハラハラするくらいです。でもエンディングは良いんですよ、これが。人によってはピンとこないかもしれませんが、僕はとても好きなのでした。切なくて余韻のある、いいエンディングです。けっこう新しいパターンかと。これがあるので、それ以外のところは許せる気分です。
そういえばこの作品は日記形式です。「学生生活の最後の一年間の日記」というのは美味しい設定だと思いますね。それは気楽な学生の身分から社会に出るための準備期間であり、主人公の不安や焦燥が生々しく伝わってきて、懐かしかったり痛かったりします。
ところでこれ、映画化されるそうなんですけど、大丈夫なのかな? 延々と宇宙論とかの議論をしてるわけですが。どうなっちゃうのか興味があるので、観ることでしょう。
このエンディングは生かしてほしいんですけどね。頼むから、ベタなライトノベル的展開にはしてくれるなよ~。
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