「”非線形”の概念を理解できるか」ということは、ある人に数学的な素養があるかどうかを計るベンチマークになります。たとえばこちらのサイトを見ると、「曲がった世界のことです」という、”そのままやん”的な説明がありますが、実際説明しにくいもので、いろんな問題に当たるうちに、感覚で理解できることなのかもしれません。
今日、一部で”天才プログラマー”の名を欲しいままにしている人の、講演を聴くことができました。たしかにスゲェ、と思いましたが、今日聞いた話に限れば、ものすごく独創的なアイデアやインスピレーションがある、というわけでは無いですね。いわゆるマジックがあるわけではない。
今日のテーマは、とあるシステムのパフォーマンスをいかに最適化するか、ということでしたが、この手の問題は、容易に非線形になります。巡回セールスマン問題のような、”単純なルールだけど非線形”というものでも解けないのに、”複雑なルールかつ非線形”とくると、解をスマートに求めることはほとんど無理と言えます。
結局、最後に頼りになるのは、”ここはだいたいこれくらいのオーダーのはず”と推定して、”だからこの部分はこういう式でうまくいくはず”と線形近似する能力でしょう。もちろんヤマカンではだめであって、解ける部分は極力解いて、論理的に突き詰められるところは突き詰めて、過去の経験も総動員して、その上に成り立つ推定や近似ですけれど。
今日の講演は、その推定や近似の手法が緻密かつ工夫があって、さすが天才だな、と思いつつ、だけど天才でも非線形には勝てないな、と思いました。
いや、もしかしたら話してくれなかっただけで、すごいマジックを隠し持っているのかもしれませんけどね。
参照URL中で紹介されていた、三洋電機のホモトピー法は特許を得られなかったみたいですね。
http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/0/ce9b82273b0d3b9449256f7200182917?OpenDocument
こういうものこそ国で保護しておいた方が儲かるのになぁと思うんですが。
投稿情報: X | 2005年2 月19日 (土) 00:21
へー、裁判所で争ったんだ、すごい。
特許について、裁判官が判断するのは無理じゃないか、と思うこともありますね。最近の中村さん(青色ダイオード)の件とか、一太郎の件とか。裁判官に技術はわからないからなぁ。いつかblogのネタにしようと思ってるんですが。
投稿情報: トヲル | 2005年2 月19日 (土) 10:08