カーナビは、以前はCD-ROMで、今はDVDが主流ですが、数年前から高級機はHDDになっています。純正品も、高価なクルマ用はHDDになりつつあり、「いまどきDVDナビなんて…」という風潮もあるようで。 たしかにマーケティング的に、HDDに付加価値をつけて高級機を売りたいという、メーカーの思惑はよくわかるのですが、わたしはHDDナビに懐疑的で、それが「素性のよい技術」という感じがしないのでした。 DVDにはいろんな良さがあります。HDDよりコストが安いし、クラッシュしないし、マップの更新が簡単だし、わずかなハード追加でDVDビデオを再生することもできます。対してHDDのメリットは、1)検索が速いことと、2)HDDをMP3ジュークボックスなどに使えること、でしょうか。 で、まず2番目の”ジュークボックス”ですが、私としては、カーオーディオにiPodをつなげばいいじゃんと思えます。歩いてるときでも使えて、ライブラリを一元管理できますし、PCとの連携も容易です。操作性も遥かに良いです。 まあ、カーナビとカーオーディオを統合した、複合商品として見た場合は、オーディオ機能の一貫としてアリなのかもしれません。 本題は、1番目の”検索の速さ”です。検索スピードが最も問題になるのは、走行中に案内されたルートを外れてしまい、リルートする(案内ルートを修正する)場合です。これが遅いと、案内されたときにはポイントをすでに過ぎている、ということになり、困ってしまうので。 最初に使っていた、CD-ROMの楽ナビは、そういうことが良くありました。その次に使っていた5年前のサイバーナビ(DVD)は、10秒以内でリルートしてくれるので、ほとんど問題なくなりました。 そして、今使ってるDVD楽ナビ(AVIC-DRV20)ですが、リルートは一瞬です。おそらく、案内中のルートだけでなく、可能性のあるルートの地図も随時DVDから読みこんでおいて、必要になったらすぐ使えるようになっているのでしょう。限られたハードウエアで性能を出すために、知恵を使っているわけです。 ルートを最初に検索する時の速度は、HDDの方が速いですが、楽ナビも旧世代のDVDナビよりずいぶん速くなりました。10秒が2秒になったところで、すごく嬉しいとは思えません。一日にそう何回もやるわけじゃないですからね。 HDD機の方が、DVD機よりも高性能のCPUなどを使っていることが多いので、そういう点での違いはあります。これはHDDかDVDかとは別の話ですが、好みの問題ですね。地図が高速にスクロールするのを重視する人もいれば、あまり気にしない人もいるので。私は後者ですが。 そもそもHDDナビのロバストネス(堅牢性)は、私は信用してません。クルマなんて、振動が激しいし、いつでも電源が切られるし、電圧は不安定だし、電子機器にとっては過酷です。しかも、PCはせいぜい3年くらいしか使わないと思いますが、クルマは5年、10年と乗るので、車載機器もそれだけの寿命が期待されます。それにHDDが耐えられるのか? 実際、ナビのHDDがクラッシュしたという話は聞きます。 この記事のパナソニックの人は、「HDDっていうのはどうしてもメンテナンスが必要です」と言っているので、つまりは消耗品と考えたほうが良いのでしょう。 何が言いたかったかというと、”検索を速くしたいのでHDDを搭載する”というのは、工夫のないアドホックな解決方法に、私には思えます。そのためにコストは上がり、ロバストネスを下げているのは如何なものかと。DVD楽ナビのように、ソフトウエアで工夫できるのであれば、そちらが正しい解決法ではないでしょうか。 それでもHDDナビが存在するのは、そのような技術論ではなく、マーケティング的な要請なのでありましょう。
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