国産ロケットはなぜ墜ちるのか | |
松浦 晋也 おすすめ平均 「へぇー」でした。 本気でロケット上げる気あるの? 日本は大国ではない 宇宙開発よお前もか 現場とお上と中間管理職 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
先日、中国が有人ロケットの2度目の打ち上げに成功しました。例によって、「日本は技術力で中国に抜かれた」という人がいたり、「あんなのソ連のコピーであって大したこと無い」という人がいたりするわけですが、私はどちらも違うだろと思いますね。日本にはまだ技術力はあるはず。でも中国は、巨大科学プロジェクトをキッチリこなせる力を示したわけで、侮ることはできないと。
ではなぜ、日本の宇宙開発は失敗続きなのか。この本によれば、それは政治家の無理解と、官僚主義の蔓延が主な要因、ということになります。
たとえばこんな話。人工衛星や惑星探査機のような”宇宙機”で、もっとも重要で脆弱な部分といえば、電源です。宇宙機は冗長性があるので、多少壊れてもなんとかなることが多いですが、電源が壊れるとどうしようもないし、壊れやすい部分なので、設計には細心の注意が必要となります。
特に、最近のトレンドである折りたたみ式の太陽電池パネルは、難しい部分です。ぎりぎりまで軽量化しつつ、発射や噴射の衝撃に耐え、高温や低温にさらされても、完全に動かなければなりません。日本では、NECが、失敗も経験しつつ、苦労してこの技術をモノにしていました。
しかし、先日失敗した、みどり1号、2号の太陽電池パネルは、実績の無い東芝製でした。そして両方とも、失敗の原因はその太陽電池パネルです。1号でパネルが壊れて、修正したつもりが、2号ではパネルの別のところが壊れました。
なぜNECのを使わなかったといえば、業者に均等に発注したかったからです。NECは別の仕事を取っていたので、じゃあパネルは東芝に、となったらしく。なんとも残念な話です。
これは一例で、ほかにもいろんな話がありますね。宇宙開発は、1つのプロジェクトが少なくとも5年はかかるのに、官僚は2年でローテーションして、最初から最後まで見ている人がいない、とか。だから、自分の任期を無難に過ごすことだけ考えて、大胆な計画の見直しなど出来ない、とか。
あと面白かったのは、歴代の科学技術庁長官(省庁統合後は文部科学大臣)のうち、理系の人は1割弱しかいないし、首相に至っては一人もいないのですが、中国の今の政治局委員は、胡錦涛主席を含む「全員が」理科系大学の出身だということです。まぁ、中国はちょっと極端な気もしますが、科学技術政策を決めるには、理系の”教養”(”知識”ではない)が必要であって、日本にはそれが欠如している、という話です。
実際、宇宙開発に限らず、国家プロジェクトは失敗ばかりですからね(例の高速船モナー)。この調子だと、ほんとに中国に負けてしまうかも、と思えてきますよ。
プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、マネジメントの重要性が増してきます。人ごとでは無いというか、身につまされる部分もあったりしますね・・・
「あ」 あとは野となれ山となれ
お上に任せておくと、そうなるのは見えています。 お上OBも然りです。
投稿情報: たけこぷたー | 2005年10 月24日 (月) 20:43
官僚が優秀な時代もあったと思うのですが、今の時代にシステムが合わないのでしょうか。
投稿情報: トヲル | 2005年11 月 1日 (火) 01:32