Wiiを、ひとしきり触ってみました。僕はけっこう微妙だと思ったのですが、世間的にはどう評価されるのでしょう。
白状すると、僕はNintendo DSが出たときにも「たいしたことない」と思ったクチです。
PSPに比べると画面が狭く、描画性能が圧倒的に低く、なにより筐体がチャチイので(Liteは良くなりましたが)、第一印象が悪かったのが大きいように思います。
それでも、タッチパネルの可能性は感じていました。メイドインワリオみたいなミニゲームは飽きそうだけれど、絵や文字を書いたりという、これまでのゲーム機にはないオペレーションが可能なので、これを使った面白さは出せそうだなと。でも、その後のDSの大ブームと年齢層の広がりは予想外でしたね。
勝因は、タッチパネルが”直感的である”ことでしょう。銀行のATMとか、コンビニにあるKIOSKとかはタッチパネル操作なわけですが、なぜかというと直感的だからであり、DSのタッチパネルも同じ理由で、ゲームのコントローラに不慣れな人でも扱えるのがポイントです。
わかりやすいだけではなく、触った画面のものがすぐに反応することが、新鮮な小気味よさを生んでいるとも思います。反応のダイレクトさや手触り感は、ゲームには重要ですからね。というか、それが命だと言えます。
整理すると、DSのタッチパネルのよさはこう↓なります。
- 画面を直接触るという操作性が直感的で、万人に分かりやすい。
- 画面を触ると即座に画面が反応するので、ダイレクト感があり、気持ちよさにつながる。
- ”絵や文字を書く”という、従来のコントローラにはできない細かい動きができる。
では、Wiiのコントローラはどうでしょうか。まず1の直感的かどうかということですが、ポインティングデバイスという意味では直感的ですが、少なくとも、タッチパネルにはかないません。けっこう正確に狙う必要があるので、マウスよりも難しいと思えます。
”単に振るだけ”という操作であれば、たしかに簡単であり、”Wiiスポーツ”などにはその手のゲームがいくつかありますが、それだとタイミングゲームにすぎません。ゲーム性を上げようとすると、”ボタンを押しながら振りつつ、ボタンを離す”といった複雑な操作になっていき、DSの”画面を触るだけ”には、やはりかないません。ゼルダに到っては、ヌンチャク側のたくさんのボタンも駆使する必要があり、むしろすごく難しいと思えます…
2のダイレクト感ですが、これは特に問題アリです。かなり操作に対して遅れて反応するので、気持ち良くないのです。なぜこんなに遅れるのだろうと不思議なほどで。これが原理的なものなのか、今後のソフトの作り方によって改善されるのかが、気になるところです。このままではダメでは?
コントローラから音が出るのは、ダイレクト感向上の効果があり、かなり良いのですけど。
3ですが、このコントローラでは細かいことはできず、むしろ大味なので、”このコントローラでなければ出来ない操作”というのは、限られている気がします。今後の使いこなし次第かもしれませんが。
世間では、DSが大成功したのでWiiも成功するに違いない、という雰囲気が強いですが、少なくともDSの良さは持っていないと、僕は思うわけです。DSの”直感的”で”ダイレクト”で”きめ細かな操作性”という美点を、Wiiは受け継いでいません。
では、Wiiとしての独自の良さがあるかどうかですが、それは”コントローラを振る”という独自の操作を生かした、これならではのソフトが作れるかどうかでしょう。現状のソフトを見る限りでは、微妙だと思っていますが。
僕はDSの可能性を見誤っていたので、今回もそうなのかもしれません。しかしDSのときは”これはこれでアリかもしれん”という予感はありました。でも今回は無いし、なんといっても”ダイレクト感に乏しい”という点で、僕にとってはゲーム機失格なのでした。
ただ、違ったことをやってゲームの間口を広げよう、という任天堂のチャレンジは素晴らしいと思います。昔からそうなので(そして失敗もあるけど)、会社のカルチャーなんでしょうね。それは必要なことで、既存路線での改善に終始していると、いわゆるイノベーションのジレンマに嵌ったりするわけです。
Wii支持者じゃありませんが、Wiiがヒットするとしたら、ゲーム画面よりゲームを遊んでいる人の面白さだと思います。
テレビCMはそのあたりを上手く表現していますね。
投稿情報: まぷろん | 2006年12 月 5日 (火) 09:07
なるほど、コミュニケーションツールとしてのゲーム機ですね。たまごっちとかポケモンとかはそうだし、それもアリなのかもしれません。その場合、ゲームとしても面白さは二の次なんですよね。
投稿情報: トヲル | 2006年12 月 5日 (火) 10:44