野村総合研究所はこのほど、2012年度の国内IT市場の分析と規模予測を発表した。07年度のゲーム機の出荷台数は3622万台、08年度も3433万台だが、12年度には580万台に大きく落ち込むと予測している。
だそうで、なかなか大胆予測ですな。記事はこちら。ちなみに携帯ゲーム機は含まない、据え置きゲーム機に限った話だそうです。
今年の予測の3622万台という数字は、日本国内だけじゃなく世界中に出荷した台数ですね。このうちだいたい55%がソニー(PS3+PS2)、45%が任天堂(Wii+GC) のはずです。
どっから突っ込もうかという感じなのですが、まず現行機(PS3やWii)が6年経過するので落ち込むという予測ですが、PS2がどうだったかというと、発売1年後の2001年が1570万台で、6年後の2006年が1170万台です(数字はvgchartzより)。PS3やWiiなどの次世代機が出てるにもかかわらず、極端な落ち込みにはなっていません。6分の1に縮小するという根拠は不明ですね。ゲーム機って、発売して時間がたつと、そのぶん良質なソフトが増えていくし、本体価格も下がっていくので、売り上げピークは発売の数年後になる傾向があります。それは常識だと思うのですが、アナリストの方は違う考えがあるようで。
「携帯ゲーム機が台頭するので据え置き機は衰退する」という意図かもしれませんが、現実は、携帯ゲーム機も据え置きゲーム機もどちらもよく売れています。携帯ゲーム機のほうが数が多く売れるのは、一家に1台ではなく一人1台だからです。世帯普及率では同等なわけで。携帯ゲーム機があるから据え置き機は売れなくなるという傾向は、今のところはありません。
あるいは、「マイクロソフトのXBOX360が好調なのでそれに押される」、という意図かもしれませんが、現状では日本と欧州ではPS3優勢で、北米ではXBOX360優勢であり、年末商戦の週販はほぼ互角です。でもXBOX360は発売後2年たち、ソフトも充実してノッている時期なのに対して、PS3はまだ1年なのでソフトは不足しており、この時点で互角というのはむしろ優勢なのかも。少なくとも大幅に押されている状況では無いでしょう。そもそも、全地域で一番売れてるのはWiiですしね。
それから、「プレイステーション3、Wiiなどに続く第5世代のゲーム機の発表がないと予想されるため」とありますが、この予想はよくわからんですね。少なくともWiiはSD世代なので、HD(ハイビジョン)世代のゲーム機を5年以内には出すと思うがなぁ。5年後にはもうSDのテレビは売ってないだろうし。任天堂がこのまま無策でボーっとしてるというアナリスト予測が正しいとしたら、すごい情報源を持っているとしか思えませんが、どうなんだろう。
まぁ、端的に言って、こんな予測をして給料をもらえるアナリストって羨ましい商売だなぁと思いました。日本市場しか見ていなくて、ゲームは脳トレしかやらない人なら、こういう予測になるのかもしれないな。
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