クルマを乗り換えるにあたって、これまで書いた以外にも試乗したものがあるので、思い立ったものから書くことにします。
ボルボV50と新型レガシィは、同じ日に試乗したのでした。どちらもステーションワゴンで、同じくらいの値段ですが、方向性がぜんぜん違っていて面白かったですね。
まずはボルボから。これに乗ってみようと思ったのは、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載したモデルが追加されたのが気になったからです。VWグループに続いてDCTを開発したゲトラグ製のもので、ボルボは”パワーシフト”と呼んでいます。 ちなみにランエボが搭載したDCTもゲトラグなので、同系列のものなのでしょう。
それまでV50は2.4Lの5気筒がエントリーモデルだったのだけれど、『ボルボV50 2.0e パワーシフト』 は2Lの4気筒で、値段も299万円からと(ボルボにしては)リーズナブルになっています。
インプレですが、乗り味については”高級車”って感じはあまりしないですね。エンジンはガサツな回転フィールでゴーゴーとうるさく、ハンドリングもゆるめ。エンジンは、これがいやなら5気筒を選べということなのでしょう。
DCT(パワーシフト)は、クリープや極低速域が自然で、この点ではVW/アウディのものより明らかに優れている一方で、DCTならではのダイレクト感には乏しく、良くも悪くもトルコンATと似た特性。そういう味付けにしているのでしょう。
内装はいいですね。いかにも北欧調のモダンな雰囲気で、スキーウェアの生地だというシートもいい感じ。ドイツ車にも日本車にもない味で、この内装に価値を見出した人がボルボを買うのでしょう。
次は新型レガシィですが、さんざん言われてますが、ずいぶんデカくなりましたよね。以前は引き締まった筋肉質なイメージだったのですが、大きく立派になって、デザインもどことなくトヨタっぽく、「クラウンのワゴンです」と言われても信じてしまいそうです。幅はクラウンよりも広いんですからね。
でも乗ってみるとフットワークが軽快で、さすがスバルだなぁとは思います。プロロローという独特なエンジン音も軽快さを演出しています。試乗車はノンターボ・2.5Lの『2.5i S Package (283.5万円)』でしたが、 シフトパターンをSモード(スポーツモード)にすれば、十分なトルクでスイスイ走れました。ただ、燃費重視のiモード(通常モード)だと、ちょっとダルくて重さを感じます。
トランスミッションは、新開発のCVTなんですよね。いまさらチェーン式CVTかよと思わなくもないですが(時代はDCTでしょう!)、とても自然なフィーリングではありました。ただ、シューンというノイズはけっこう聞こえます。
ノイズといえば、低周波の篭もり音のようなものもあり、やや気になりました。ボディの容積が大きいと、こういう音が出やすいんでしょうね。ミニバンとか篭もり音がそうとうウルサイですし。ビルシュタインのサスのおかげか、乗り心地はなかなか良いものでした。
そんなわけで走りは好印象なのですが、内装は感心しません。大きなセンタークラスターがミニバンのようで、レガシィのスポーティーなイメージにそぐわないでしょう。メーターに青いグラデーションが印刷されているのはひどく安っぽいのですが、どういうセンスなのか… ハンドルにメッキ調プラスチックをあしらっているのも安っぽく、しかも指輪などが当たるところなので、ずいぶん傷がついていました。
というわけで、『内装のV50 対 走りのレガシィ』という、綺麗に性格の違う2台でした。2台のいいところを集めれば最高なんですけどね。
このところの不況で、ボルボは会社ごと売りに出されているので、スバルが買ったらどうですか? あるいはスバルの親会社のトヨタが買って、2社で共同開発させるとか。このままだとボルボは中国企業に買われそうで、先行き心配ですが、あのセンスは貴重だと思うんですよね。
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