今号の日経エレクトロニクスの表紙に、”究極の誤り訂正”という見出しを見たとき、ドキッとしました。究極ということは、どんな誤りでも訂正してくれるということだろうか? 私の誤りだらけの英文メールを、すっきり訂正してくれたりとか。あるいは「こんなメールを書く、あんたの存在自体が誤り」と全否定されたりとか。
記事を読んでみると、要は、”シャノンの限界”に限りなく近づくという、誤り訂正符号の話でした。つまらん・・・
シャノンの限界とは、デジタル信号を送る速度の理論的限界のことです。信号の速度が速くなると、どうしても信号にノイズ(間違い)が多くなります。間違いの多いデータを元に戻すために、誤り訂正用の信号をくっつけた”符号化”を行います。これにはいろんな方法があるのですが、どんな方法を使ったとしても、
通信速度が速くなる → ノイズが増える → 誤り訂正信号を増やす → 通信速度が速くなる
ということを続けていると、誤り訂正信号ばかりがどんどん増えていって、そのうち、通信をいくら速くしても、正味の信号量はちっとも増えない、という壁に突き当たります。
いつ壁に当たるかというのは、符号化方式によるわけですが、これ以上は無理、という理論的な壁が”シャノンの限界”です。
上の説明で間違ってないよな? 自分へのメモの意味も込めて書きました…
記事にあるLDPCという方式は、有望な次世代技術ということでモテモテなんですが、実は40年以上前の1962年に開発されていたんだそうです。でも当時としては、計算量が莫大なので非現実的と見なされて、以後忘れ去られていたと。
40年前のものが、最先端の方式になるというのも面白いですが、考えてみれば、コンピュータ科学そのものが、それこそシャノンやチューリング、フォン・ノイマン あたりから60年以上たっても、大枠としては進歩が無いわけで。
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