このところ”ライブドア事件”が連日報道されていて、テレビなどマスコミが、盛大に「ホリエモン叩き」をしています。それを見るにつけ、どうにも違和感があるんですね。別に、ホリエモンが好きなわけじゃないんですが。
なにかの番組で、有名人や有識者が感想を言うVTRが流れていて、「拝金主義の風潮が生み出した奇形児」だの「前からヤツはうさんくさいと思っていた」だのという、空疎な発言の中で、アメリカの経済誌の記者の意見には、興味を引かれました。いわく、「この事件の原因は、日本市場のルールの未熟さにある」と。
つまり、現状のルールには必ずしも違反していないのではないか、と彼は言いたげでしたが、そうなのかな? なんとなく報道に流されて、違法性は当然あるんだろうと思っていましたが。そのあたり、専門家の意見を知りたいと思い、blogを漁ってみました。フーム… ナルホド…
いろんな意見はありますが、どうやら、
「ライブドアのこれこれ行為は、この法律に明確に抵触する」
というハッキリしたものは、今のところ無いみたいです。報道されている情報から判断する限りにおいては、ですが。
こちらの47th氏のblogは、特に読みごたえあります。NYで弁護士をされていて、M&Aの法務面に詳しいという、まさに専門家です。
47th氏の分析では、ライブドアのやったことは、かなりグレーではあっても、はっきり違法とは言い切れないのではないか、となります。規制緩和で生じた隙間を、うまく突いたとも言えるのではないか、と。
この47th氏と、会計士の磯崎氏という方が、お互いのblogにトラックバックを張って、論争を繰り広げています。あくまで冷静かつロジカルな論争ですが。
その磯崎氏の方は、ライブドアの行為は裁かれるべき、という意見です。本来、会計ルールというのは、明文化されているのは一部分に過ぎないので、肝心なのは、細かなルール云々よりも、全体として「その会計は会社の実態を表しているか」であると。だから、不自然な操作をして、会計を実態より良く見せることは、たとえ法律にはっきり背いていないとしても、間違った行為である、と。
私はズブの素人ですから、お二人の意見を正しく理解していないかもしれないけれど、個人的には、47th氏の意見のほうが納得できる気がします。
磯崎氏の意見は、民事の"信義誠実の原則”に通じるものがあるように思います。民事の場合、ある人の"信義にもとる行為”が、他の人に損害を与えた場合、たとえ法律に違反していなくても、信義誠実の原則に照らして、罰を与えられます。
でも、それはあくまで民事の話であって、今回のライブドア事件は"刑事事件”なんですよね。国家権力が発動されて、個人の自由や財産が侵されるわけなので、それには明確な基準がないとダメなんではないか、と思えるのでした。
それにしてもマスコミってのは、こういうグレーな状態であるのを知ってか知らずか、ホリエモンを完全に犯人扱いして、人格攻撃まで始める始末。こちらのblogの意見にも、まったく同意です。
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